Attributable Fractionとは?
Attributable Fraction(AF)とは、疾患の発生に対して、ある曝露がどの程度寄与しているかを割合として表そうとする指標の総称です。
“attributable risk”, “attributable risk percent”など、様々な用語が混同して使われているので、文献を読む際には「何を分子・分母としているのか」「何を意味する指標なのか」を確認することが重要です。
ここでは、AFを構成する重要な2つの概念、
“Excess Fraction”と”Etiologic Fraction”について考えます。
Excess Fractionとは?
Excess Fractionとは、
曝露を取り除くことによって、観察された疾患のうち、どの程度が減少するか
を表します。
同じ人数 の集団について
とします。
すると、曝露によるexcess casesは です。
したがって、excess fractionは、
となります。
incidenceを使えば、
と表現できます。
Etiologic Fractionとは?
Etiologic Fractionとは、
観察された症例のうち、実際の疾患発生の因果過程に曝露が関与した症例の割合
です。
一見するとexcess fractionと同じように思えますが、この2つは異なります。
これを理解するために、疾患を引き起こすcausal mechanismを、
- C: 対象となる曝露を含むcausal mechanism
- C’: 対象となる曝露を含まないcausal mechanism
に分けて考えます。
例えば、曝露を「喫煙」、アウトカムを「心筋梗塞」とします。
ある人では、
喫煙+糖尿病+その他の要因→心筋梗塞
というメカニズムが完成するかもしれません。
また別の人では、
遺伝的要因+糖尿病+「喫煙を含まない」その他の要因→心筋梗塞
というメカニズムが完成するかもしれません。
さらに、「同じ人のなかで複数のcausal mechanismが進行している可能性がある」ことにも注意する必要があります。
例えばある人が喫煙しており、心筋梗塞を起こしたとします。
喫煙を含むメカニズムCが先に完成し心筋梗塞を起こしたものの、もし禁煙していたとしても、別のメカニズムC’が完成して心筋梗塞を起こしたかもしれません。
この人について言えば、
喫煙は心筋梗塞の発症に因果的に関与した
と言える一方で、
喫煙を取り除いても、観察期間内の心筋梗塞というイベント自体は減らなかった
とも言えます。
前者を捉えるのがetiologic fraction、後者を捉えるのがexcess fractionです。
ただし、etiologic fractionは通常の疫学データからは計算できません。
同じ人について、「もし喫煙していなかったら…」というシナリオを同時に観察することができないからです。
また、例えば同じ人が潜在的に非曝露下で発症したとしても、実際に曝露された世界で、どのcausal mechanismが先に完成してアウトカムを引き起こしたのか、通常の疫学データからはわかりません。
例を用いた説明
ある集団が砂漠に取り残されており、綺麗な水はなく、手元には毒の入った水しかないとします。
アウトカムを3日以内の死亡とします。
全員について、
- 毒入りの水を飲む: 3日以内に毒で死亡
- 毒入りの水を飲まない: 3日以内に脱水で死亡
とします。
曝露は「毒入りの水をのむこと」です。
全員が毒入りの水を飲めば、全員が毒によって死亡するので、
etiologic fraction = 1となります。
一方、毒入りの水を取り除いたとしても、全員3日以内に脱水で死亡するので、
excess fraction = 0です。
さらに、集団の一部の人が水を飲んだとします。
水を取り除いたところで、みんな死んでしまうことは変わりないので、この場合もexcess fractionは0です。
一方、「全員が3日以内に死亡した」という情報だけでは、何人が毒を飲んだか分からず、etiologic fractionを計算することはできません。
まとめ
重要なのは次の2点です。
- Excess fractionとetiologic fractionは同じものではない。
- Etiologic fractionは通常の疫学データからは推定できない。
参考文献
Lash TL, VanderWeele TJ, Haneuse S, Rothman KJ. Modern Epidemiology. 4th ed. Wolters Kluwer; 2021.
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